不妊治療について

「赤ちゃんが欲しくても妊娠しない...」多くのカップルがこの悩みを抱えています。
不妊治療は日々進歩しております。以前の治療では妊娠できなかった方も、少しずつ成功する(妊娠できる)可能性が増えてきております。
私たちは、可能な限り最新の医療を取り入れ、患者様のニーズに合わせた治療を提供するよう努力していきます。

院 長 & スタッフ一同

当院で行っている治療内容

1. 一般不妊治療(検査・タイミング指導・排卵誘発)
2. 人工授精
3. 体外受精
4. 顯微受精
5. 胚盤胞移植
6. 胚(受精卵)の凍結保存
7. 融解胚移植

当院での不妊治療は、主に7人のメンバーで行っています。
医師を中心に検査技師、不妊カウンセラー、助産師が連携し、 それぞれの分野に熟練したスタッフが担当することにより患者様に適切な治療を行います

院長
小西 秀樹
臨床検査技師
松田 広美、鈴木 亜耶、牟禮 裕子
助産師
中川 真由美
看護師:不妊カウンセラー
塩見 ゆかり、高石 さつき

細胞(卵子や受精卵)に対するストレスを最小限にするため 培養室はクリーンルームになっておりさらに処置はクリーンベンチ内で行っています。

妊娠の仕組み

卵胞発育から排卵

排卵は、いくつかのホルモンが複雑に影響しあうことによって起こります。 視床下部から分泌されるLH-RH(黄体化ホルモン放出ホルモン)は下垂体を刺激して、 性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)を放出させます。 下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンは、 FSH(卵胞刺激ホルモン)LH(黄体化ホルモン)とがありまが、 まずFSHが分泌され、卵巣にある卵胞が原始卵胞から、 一次卵胞、二次卵胞、三次卵胞へと発育します。 卵胞が十分発育すると、次に下垂体からLHが大量に分泌され卵胞が破裂、排卵が起こります。 この LHの分泌をLHサージといいます。

排卵から受精

ちょうど排卵直前に性交渉が行われれば、精子は膣内に放出されます。 精子は自ら子宮内腔、卵管内へと移動します。 卵巣から排卵した卵は卵管采にとらえられ卵管膨大部に送られます。 卵管膨大部で卵と精子がめぐりあい受精卵になります。

受精から着床

受精卵は、卵管の中を子宮腔の方に向かって移動しながら、 2細胞、4細胞と分割を繰り返し、受精後 3.5日目には桑実胚、5日目には胚盤胞という状態になります。 受精後7日目頃には子宮腔内へ到達し、受精卵は子宮内膜に着床し妊娠が成立します。

検査

不妊症の原因は多種・多様です。
男女別に見ると、原因が男性側のみにあるカップルが4分の1、 女性側のみにあるものが 5分の2、両方に原因があるのが4分の1です。 不妊症は女性の病気と思われがちですが、全体でみると男性側因子によるものは約半数になります。 不妊症の治療は夫婦一緒に力を合わせて行いましょう!!

主な原因

1. 排卵障害(ホルモンの分泌異常など)
2. 卵管因子(卵管が狭かったり、つまっている)
3. 子宮因子(子宮の形の異常など)
4. 子宮や卵巣の病気(子宮内膜症や子宮筋腫など)
5. 免疫的な異常(膠原病や、精子や卵子に対する抗体)
6. 男性因子(精子の数が少ない、動きが悪い)
7. 原因不明

治療を行う前に原因を解明することが大切です。 右図に当院で行っているスクリーニング検査を示します。 問診・内診・外診による身体的状況の把握後、検査に移ります。
一般的には、不妊スクリーニング検査として右に示すような一次検査を行い、 必要に応じて精密検査を行います。

問診

検査・治療を始める前に問診をします。
急激なやせや体重増加などの体重変動、胃薬・抗精神薬や、 女性ホルモン作用の強い特殊食品の摂取などは、内分泌異常を誘発する可能性があるため 診察時に主治医に説明しましょう。 過去に不妊治療を行ったことのある方は、治療内容や検査結果についてあらかじめ知らせておいてください。 喫煙歴・アルコールなども教えてください。

基礎体温(BBT)

女性ホルモンの分泌は月経周期によって変化しています。 ホルモンの分泌の変化に応じて正常月経周期では、低温相と高温相の2相性を示します。 排卵の有無や排卵日の予測に有効な検査のひとつです。
基礎体温表こちらからダウンロードできます。クリックして印刷してご使用ください。

*基礎体温をつけずに不妊治療を行うことも可能です。

Adobe Reader
基礎体温表のファイルが開かない場合はAdobeウェブサイトよりAdobe Readerをダウンロード、インストールしてください。

尿LH

尿中の黄体化ホルモン濃度(LH)を測定し、排卵日を判定する検査です。
*簡単な検査などで自宅でも可能です。

子宮卵管造影(HSG)

卵管に異常があるかどうかの検査は、
@卵管通気法
A卵管通水法
B子宮卵管造影
などがあります。 当院では、子宮卵管造影を行っています。 子宮卵管造影は、右図のように、子宮の入り口から造影剤を注入し、X線写真を撮る検査です。 卵管が開通しているかどうか、卵管が詰まっていたらその部位、卵管采の状態、子宮の大きさや形がわかります。 この検査で卵管が開通し妊娠する人もいます。

ホルモン検査

女性ホルモンは女性の月経周期によって変化しています。各時期に合わせて採決します。
卵胞期(低温期)
卵胞刺激ホルモン(FSH) 黄体化ホルモン(LH) 乳腺刺激ホルモン(PRL)など
排卵期
黄体化ホルモン(LH) 卵胞ホルモン(E2)など
黄体期(高温期)
黄体ホルモン(P)など
*必要に応じて上記以外の精密検査を行うこともあります。

精液検査

男性側の検査です。
3-4日間禁欲したあと、専用の容器に精液を取って顕微鏡で検査します。
精子の状態(精液量・精子濃度・精子の運動率・奇形精子の割合など)がわかります。
*精子の状態は体調により変化します。1回の検査で不良でも再検査では問題ないこともあるので数回検査をする場合もあります。

フーナーテスト(性交後試験)

排卵日に性交をしてもらい、性交後に子宮の頸部の粘液を採取し、精子の状態を確認する検査です。
精子と頚管粘液の相性がわかります。

クラミジア検査

最近最も頻度の高い性感染症で、子宮の周囲に炎症を起こし卵管に癒着が起こり不妊症の原因になります。
*感染していてもほとんど自覚症状が無いのが特徴です。

抗精子抗体

精子の対する抗体で、女性の体内に入ってきた精子を異物とみなして精子の動きを止めたり、受精を障害します。

子宮鏡検査・手術

子宮腔にポリープや子宮筋腫を認める場合、受精卵が着床できないため不妊症となります。 子宮腔内の検査は、子宮鏡検査といって小さなカメラを子宮腔内に入れ観察します。 カメラは、軟性鏡(ヒステロファイバースコープ)と硬性鏡があります。 当院では、検査は径3mmの軟性鏡でおこない、子宮腔内にポリープ、子宮筋腫などの病巣が見つかった場合、 麻酔をかけ硬性鏡で病巣を切除します。

腹腔鏡検査・手術

いろいろな検査をしても原因がわからないこともあります。 原因がはっきりしない場合、タイミング療法や、人工受精などを行いますが、 しばらく通常の不妊治療をしても妊娠しない場合、たいていは腹腔鏡検査を行います。 腹腔鏡検査はお腹に小さい穴を 3カ所くらい開けて内視鏡を入れおなかの中を観察します。 子宮付属器周囲 の癒着や子宮内膜症があるかどうかはこの方法でないと確実な診断ができません。 また簡単な異常は 腹腔鏡で治療することもできます。

治療

スクリーニング検査で異常が見つかった場合、原因に対する治療を優先します。 原因がわからない場合、さらに詳しい精密検査を行い、原因が判明した場合、原因に対する治療を行います。 精密検査を行っても原因がわからない場合は、まずタイミング指導を行いますが、 それで妊娠にいたらない場合もあります。 基本的には原因に対する治療を行いますが、同じ治療を半年以上行って妊娠に至らない場合には、 腹腔鏡検査を行ったり、人工授精→体外受精→顕微授精の順に治療をステップアップする必要があります。

タイミング指導とは?

基礎体温・超音波による卵胞計測・頸管粘液・尿検査によるホルモンチェックなどにより排卵日を特定し、 性交渉のタイミングを決定することです。

ご自分でタイミングを判断する場合は、尿を使った市販の排卵検出キットもあります。興味のある方は試してみてもよいでしょう。

クロミフェン療法

生理の5日目から5日間内服します。軽度の排卵障害(一度無月経)の方が対象になります。

ゴナドトロピン療法

生理の3日目ごろから1週間ほど注射を行います。クロミフェン療法より妊娠率は高いですが、 多胎妊娠や、卵巣がはれたり(卵巣過剰刺激症候群)することがあります。

人工受精は、図のように男性の精子を子宮内に人工的に注入する方法です。 当院では、成熟運動精子の選別や、細菌などの不純物を除去する目的で、精液を処理して人工受精を行っております。 男性の精子の状態が悪い場合に主に行いますが、性交障害のかたに行うこともあります。

高度生殖医療

治療の流れ

当院での体外受精は、排卵誘発採卵媒精受精の確認胚移植妊娠の診断の順に行います。

排卵誘発

一度に数個の卵子を採取するため当院では基本的に注射による排卵誘発を行っています。
*場合により自然周期を行う場合もあります。

採卵

静脈麻酔下(眠った状態)で、膣から超音波の画像を見ながら採卵針で卵を採取します。約10分で終了します。
(通常4〜5個の卵子を採取します。)

媒精→受精の確認

夫の精子を採ってもらい、精子を調整します。 卵子に調整した精子を加え、卵管に近い環境で培養し、受精させます。

胚移植

受精がうまくいけば、受精卵は2日目には3-4分割、3日目には6-8分割ぐらいになります。
胚移植チューブをもちいて1-2個の受精卵を子宮腔内に移植します。約10分で終了します。
胚移植後約3時間当院で休んでもらいます。

*2008年からは、胚盤胞移植を原則とし、移植胚数は1個に制限しています。

妊娠の診断

その後、着床・妊娠の維持を促すためホルモン注射を外来で行い、 胚移植後、約2週間めに妊娠の判定を行います。

難治性の受精障害で、通常の体外受精で受精しない場合や精子が非常に少ない場合に対象となります。

方法

採卵された卵子をヒアルロニダーゼ(ヒアルロン酸を分解する酵素)を用いて、 裸化(卵子の周りに付着している顆粒膜細胞を除去)し、顕微授精を行います。 顕微授精とは、顕微鏡下でガラス製の細い針を使って、卵子の細胞質内に一つの精子を注入する方法です。

 

1回の採卵で複数の胚(受精卵)が得られた場合、残った胚を液体窒素で凍結保存します。
*当院では移植する胚数を多胎妊娠予防のため原則1個にしています。

ガラス化法

当院での凍結方法は、新しい凍結技術である「ガラス化法」を採用しています。
(凍結の際には、細胞に生じる低温障害を防止する凍結保護剤として、エチレングリコール、ジメチルスルフォンキシド、スクロースなどを含んだ溶液を使用します。 凍結処理後は、-196℃の液体窒素中で急速凍結し保存します。融解の際には急速に加温して、培養液に戻して培養を再開します。)

凍結保存している胚(受精卵)を融解し着床に適した(適度な厚みのある)子宮内膜に、適切なタイミングで受精卵(胚)を移植します。

自然周期・胚移植

自然排卵のタイミングを確認し着床に適した時期に胚移植します。

ホルモン補充(HR)周期・胚移植

子宮内膜が薄く着床が起こりにくい方や、排卵障害がある方は、女性ホルモンを投与し、子宮内膜を育ててから胚移植します。

*費用は自費で10-20万です。
治療内容によって費用は異なります。詳しくは来院時、お聞きください。

県の特定不妊治療費助成事業について

愛媛県 では、2004年度から、少子化対策の一環として、不妊治療のうち、体外受精及び顕微授精を対象として、 治療費の一部を助成する制度を創設しております。

カウンセリング

不妊治療は短期間の治療で必ず成功(妊娠)するとは限りません。 治療に対する不安・ストレスは相当なものと思われます。 不妊治療の情報を詳しく説明し、安心して治療を受けられるようサポートしていきたいと思います。

不妊カウンセラー

当院では2名の看護師が日本不妊カウンセリング学会で養成・認定を受け、活動しています。

不妊カウンセリング外来診療日程

■毎週火曜日の9:00-12:00 15:00-17:00に不妊カウンセリング外来を行っています。ご希望の方は外来、または電話でご相談ください。
*一人一人に合わせた情報提供を行うために予約制となっています。

治療成績

初診患者数と妊娠数(治療全体)

2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年
(6月まで)
初診患者数 132 名 164 名 208 名 195 名 182名 90名
妊娠数 59 名 84 名 97 名 117 名 139 名 74 名

胎嚢の確認をもって妊娠と判断しています。

人工授精の妊娠率

2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年
(6月まで)
人工授精 62 回 70 回 117 回 120 回 170 回 78 回
妊娠数 8 回 9 回 15 回 17 回 25 回 13 回
流産数 3 回 4 回 3 回 3 回 4 回 1 回
妊娠率 12.9%
(8/62)
12.9%
(9/70)
12.8%
(15/117)
14.2%
(17/120)
14.7%
(25/170)
16.7%
(13/78)

体外受精・顕微授精の妊娠率

2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年
(6月まで)
採卵 29 回 47 回 75 回 114 回 112 回 63 回
胚移植
(凍結融解胚移植含む)
23 回 43 回 57 回 90 回 100 回 51 回
妊娠数 13 回 18 回 21 回 41 回 34 回 23 回
流産数 0 回 7 回 2 回 10 回 6 回 4 回
妊娠率
(胚移植あたり)
56.5%
(13/23)
41.9%
(18/43)
36.8%
(21/57)
45.5%
(41/90)
34.0%
(34/100)
45.1%
(23/51)

多胎妊娠予防のため、2007年からは移植胚数を2個以内、
2008年から胚盤胞移植を基本とし、移植胚数を1個に制限することにしました。

年齢別に見た体外受精の妊娠率と流産率(胚移植あたり): 2004年4月から2010年6月

年齢別に見た体外受精の妊娠と流産の割合(胚移植あたり):2004年4月から2010年6月

不育症

不育症とは?

不妊症と似た言葉に不育症というのがあります。
それは、妊娠はするけれども、流早産を繰り返し生児が得られない状態で、 流産を2回繰り返すと「反復流産」といい、3回以上になると「習慣性流産」といいます。

流産について

妊娠した女性が流産する確立は意外と高く、30歳までは8-15%、35歳で20%、40歳では40%、42歳では50%以上といわれています(Andersen AMN et al., 2000)。
流産の確立が20%とすると確率的には2回流産する確立が4%、3回流産する確立は0.8%で健常な方でも約100人に1人は3回流産すると考えられます。

当院では原則的には2回流産を繰り返した方に不育症のスクリーニング検査を勧めています。

不育症の原因も、不妊症と同様多種多様です。当院で行っている一次スクリーニング検査を原因別に示します。

子宮の形態検査(子宮奇形・子宮筋腫・子宮内腔癒着・頸管無力症など)

1. 超音波検査
2. 子宮卵管造影(HSG)
3. 子宮ファイバースコープ

内分泌検査(黄体機能異常、甲状腺機能異常、高プロラクチン血症、糖尿病など)

1. 下垂体機能検査(LH FSH プロラクチン)
2. 卵巣機能検査(E2 プロゲステロン(黄体期中期)など)
3. 甲状腺機能検査 糖尿病検査(血糖値)

染色体検査

1. 夫婦の染色体検査(転座、ロバートソン転座など)
2. 流産した児(絨毛)の染色体検査

免疫学的検査(抗リン脂質抗体症候群、膠原病)

1. 抗核抗体
2. 抗リン脂質抗体(ループスアンチコアグラント、抗カルジオリピン・β2GPI複合体抗体など)
3. 抗SS-A抗体など

凝固異常

1. aPTT PT
2. AT-III
3. 第XII因子活性
4. プロテインS

低用量アスピリン療法

血液が固まりやすい方(易血栓性患者)に使用しています。
*不育症患者の中にはヘパリン(抗凝固剤)が必要な方もおられます。当院ではヘパリン療法は行っていませんので必要な場合は可能な施設に紹介させていただきます。

漢方薬

子宮鏡手術

子宮粘膜下筋腫、子宮内膜ポリープなどの場合に行います。

Q&A

Q. 挙児を希望する健常な夫婦が1ヶ月(1周期)で妊娠する確立はどのくらい?

A. 20〜25%と考えられています。

Q. 不妊治療はいつからはじめればいいの?

A. 女性の年齢が高齢になれば不妊症は難治化します。
20歳代のかたは挙児を希望して2年間たってからでいいと思われます。
30歳から35歳までは挙児を希望して1年以上経過すれば不妊検査をするべきと思われます。 また35歳以上の場合は同様に6ヶ月以上経過すれば不妊である可能性があるので早めに不妊検査を受けることを お勧めします。

Q. タバコはよくない?

A. 喫煙習慣は卵巣機能にとって有害です。
障害の程度は喫煙量と喫煙期間に依存すると考えられています。
喫煙女性は早期に閉経することが知られており、44歳以下で閉経するリスクは、非喫煙女性の約2倍になります。
妊娠を希望する方は必ず禁煙しましょう。また、妊娠を希望していない女性も当然将来のことを考えて今から禁煙しましょう!!

Q. 男性のタバコは?

A. 男性のタバコも、不妊の要因になると考えられています。
夫婦で禁煙しましょう!!

Q. 体重は不妊に影響しますか?

A. すべての女性因子の不妊の約12%は、肥満または痩せによる体重異常が関与しています。
特に肥満女性(BMIが30異常)は2.7倍不妊リスクが高く、痩せ女性にも同様の傾向が認められます。
健全な食生活・運動習慣を心がけましょう。